トヨタ自動車は、世界最大の自動車メーカーとして、高品質な車を提供しています。特に、環境に優しいハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の分野では、先進的な技術と高いシェアを誇っています。
そんなトヨタ自動車が、4日に東京株式市場で驚異的な記録を達成しました。その記録とは、時価総額が50兆円を超えたということです。これは、日本企業で初めてのことで、世界でもアップルやマイクロソフトなどの巨大IT企業に次ぐ規模です。
時価総額とは、株式の発行数に株価を掛けたもので、企業の価値を表す指標の一つです。時価総額が大きいということは、市場から高く評価されているということです。
その理由の一つは、今期の業績見通しを大幅に上方修正したということです。トヨタ自動車は、3日に発表した2024年3月期の連結純利益予想を、従来の3兆9500億円から4兆5000億円に引き上げました。これは、市場の予想を上回るだけでなく、従来予想の2.3倍に相当します。
トヨタ自動車の業績が好調なのは、主に以下の要因が挙げられます。
円安効果:トヨタ自動車は、海外での販売が国内よりも多いため、円安になると収益が増えます。トヨタ自動車は、今期の想定為替レートを、1ドル=141円から143円、1ユーロ=152円から154円に円安方向に修正しました。これにより、従来予想よりも2350億円の利益増になると見込んでいます。 原価改善:トヨタ自動車は、生産効率の向上や部品の共通化などにより、原価を削減しています。これにより、従来予想よりも1500億円の利益増になると見込んでいます。 ハイブリッド車の販売好調:トヨタ自動車は、ハイブリッド車の分野で世界のリーダーです。ハイブリッド車は、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせた車で、燃費が良く、排出ガスも少ないという特徴があります。欧米や中国などでは、環境規制が厳しくなっており、ハイブリッド車の需要が高まっています。トヨタ自動車は、この需要に応えるために、ハイブリッド車のラインナップを充実させています。 しかし、トヨタ自動車にも逆風が吹いています。その一つは、半導体不足という問題です。半導体とは、電子機器の中で信号を処理する部品で、自動車にも多く使われています。しかし、新型コロナウイルスの影響で、半導体の供給が不安定になっています。これにより、自動車の生産が滞る可能性があります。トヨタ自動車は、半導体不足の影響を最小限に抑えるために、在庫管理や調達先の多様化などの対策を講じています。
もう一つの逆風は、グループ会社の不正という問題です。トヨタ自動車の子会社であるダイハツ工業やグループ会社である豊田自動織機が、国土交通省の認証基準に適合しない部品を使用していたことが発覚しました。これにより、トヨタ自動車は、ダイハツや豊田織の部品を使っている車の出荷を一時停止するなどの影響を受けました。トヨタ自動車は、この問題に対して、厳正な対応を行うとともに、今後の再発防止に努めるとしています。
トヨタ自動車は、これらの逆風にも負けずに、世界の自動車市場での競争力を高めています。